保険医療機関や保険医が保険診療を行うために必ず守らなければならないルールがあります。
それが「保険医療機関及び保険医療養担当規則」です。
いわゆる「療養担当規則」、さらにもっと縮めて「療担」と言われているものです。
これは、保険医療機関で働く上で重要ですし、それ故に診療報酬請求事務能力認定試験でも頻出問題です。
病院で務めた経験から、重要だと考える条文を17個に絞り、簡潔にお伝えします。
りょーたん、りょーたんってゆるキャラのことじゃなかったんですね
知らない言葉だとそうなっちゃうかもね。よし、「りょーたん」について解説しよう!
療養担当規則のきほん
療養担当規則とは保険診療のルール
療養担当規則は「保険医療機関と保険医が保険診療を行うために遵守しなければいけないルール」です。
保険医療機関や保険医については↓の記事も参考にしてください。
医師だけでなく、医療事務も知っておくべきものです。
交通ルールを守るのと同じことだよ
知らなかったでは済まないんですね
3章で構成されている
療養担当規則は全3章から構成されています。
第1章 保険医療機関の療養担当
第2章 保険医の診療方針等
第3章 雑則
雑則では診療録や処方箋の様式が掲げられています。
試験でも頻出問題
療養担当規則は重要なものなので、診療報酬請求事務能力認定試験の学科でも頻出問題です。
毎回出題されているといっても過言ではありません。
ここは確実に答えが導き出せるようにしておきましょう。
診療報酬請求事務能力認定試験については↓の記事を読んでみてください。
保険医療機関が守ること
第54回~58回試験に出題された条文は、見出しに☆マークを付けたよ
第2条 診療に関する照会
診療をして得た患者の病気やケガの情報に関して、他院から照会があった場合は適切に対応しなければなりません。
第2条の5 特定の保険薬局への誘導の禁止
患者に対して、
この処方箋を〇〇薬局に出して薬を受け取ってください
とか説明するのはNGです。
特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行ってはならない、とされているからです。
患者さんは好きな薬局を選択できるんだ
第2条の6 掲示
院内の見やすい場所に下記の内容と費用を掲示しなければなりません。
- 入院時食事療養費
- 生活療養
- 保険外併用療養費
保険外併用療養費については、↓の記事で解説しています。
第3条 受給資格の確認等
患者が受診を希望する場合は、保険証かマイナンバーカードで資格を確認しなければなりません。
ただ、災害など緊急やむを得ない時はこの限りではありません。
マイナカードで資格確認ができる体制を整備するようにとの記載もあるよ
第5条 一部負担金等の受領
下記の病院は一定額以上の選定療養費の支払いを求めなければなりません。
- 特定機能病院
- 200床以上の地域医療支援病院
- 200床以上の外来機能報告対象病院
初診時選定療養費については↓の記事で解説しています。
第5条の2 領収証等の交付
保険医療機関は個別の費用ごとに区分して記載した領収証を無償で交付する必要があります。
また、点数項目ごとに記載した明細書も無償で交付しなければいけません。
第6条 証明書等の交付☆
患者から保険給付を受けるために必要な証明書や意見書等の交付を求められた時は、無償で交付しなければなりません。
- 傷病手当金意見書(保険点数100点)
- 出産育児一時金証明書
- 出産手当金証明書
など
第8条 診療録の記載及び整備☆
診療録に療養の給付の担当に関し必要な事項を記載し、これを他の診療録と区別して整備しなければなりません。
他の診療録とは、自費や労災、交通事故など保険診療以外の診療の記録のことです。
保険診療と自費診療などはカルテを分けて書くよ
第9条 帳簿等の保存
保険医療機関の診療録や帳簿などは保存期間が定められています。
帳簿や書類その他記録|その完結の日から3年間
診療録|その完結の日から5年間
診療録に関して医師法でも定められているよ
また、病院日誌や看護記録、エックス線写真など診療に関する記録は、医療法で定められています。
保存期間は2年間です。
第10条 通知☆
患者が下記に該当する場合、遅滞なく、意見を付して、その旨を全国健康保険協会(協会けんぽ)または当該健康保険組合に通知することになっています。
- 家庭事情等のため退院が困難である
- 闘争、泥酔または著しい不行跡によって事故を起こした
- 正当な事由がなくて、療養に関する指揮に従わない
- 詐欺その他不正な行為により、療養の給付を受けた
あてはまる場合は給付の制限をされるときがあるよ
第11条 入院☆
医療法の規定に基づいて承認を受けた病床数の範囲内で、患者を入院させなければなりません。
ただ、災害などのやむを得ない事情がある場合はこの限りではありません。
保険医が守ること
第18条 特殊療法等の禁止
特殊な療法や新しい療法は厚生労働大臣の定めるものしか行えません。
第19条 使用医薬品及び歯科材料
医療機関では多くの医薬品が使用されています。
この医薬品は厚生労働大臣が定めたもののみ使用することができます。
第19条の3 特定の保険薬局への誘導の禁止☆
保険医は処方箋をどこの薬局へ出すかなどの指示を行ってはいけません。
また、特定の薬局へ誘導した報酬として、保険薬局から金品や財産上の利益を得ることも禁止されています。
医療機関と薬局は、それぞれ独立した存在でなければならないのです。
患者が自分で選択する権利を守ることが目的だよ
第19条の4 指定訪問看護事業との関係
患者から訪問看護指示書の交付を求められ、その必要があると認めた場合は、患者の選定する訪問看護ステーションに交付しなければなりません。
第20条 診療の具体的方針☆
療養担当規則には診療の具体的方針も定められています。
各医療行為は必要があると認められる場合に行うこととされています。
重要な項目を抜粋しました。
- 診察
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- 健康診断は、療養の給付の対象として行ってはならない。
- 各種の検査は、研究の目的をもって行ってはならない。
- 健康診断は、療養の給付の対象として行ってはならない。
- 投薬
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- 治療上1剤で足りる場合には1剤を投与し、必要があれば2剤以上を投与する。
- 投与量は、予見することができる必要期間に従ったものでなければならない。
- 治療上1剤で足りる場合には1剤を投与し、必要があれば2剤以上を投与する。
- 処方箋の交付
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- 処方箋の使用期間は、交付の日を含めて4日以内とする。
ただし、長期旅行など特殊の事情がある場合は、この限りでない。
- 処方箋の使用期間は、交付の日を含めて4日以内とする。
- 注射
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- 内服薬との併用は下記の場合に行う。
-著しく治療の効果を挙げることが明らか
-内服薬の投与だけでは効果の期待が困難
- 内服薬との併用は下記の場合に行う。
処方箋の使用期限は資格試験で最頻出項目だよ
まとめ:重要項目はできるだけ覚える
今回は療養担当規則の重要項目を厳選してお伝えしました。
このルールを違反すると、最悪の場合、保険医療機関の取り消しもあります。
重要な箇所だけでも押さえておいた方が良いです。
また、診療報酬請求事務能力認定試験の学科でも、どうぶつの森のスズキくらいよく出るので、確実に得点できるようにしましょう。
りょーたんって全然ゆるキャラじゃないですね
むしろ「きびキャラ」だね
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
たくさん勉強して質・価値の高い医療事務になりましょう!