【経験者が解説】病院の目的別の分類は4種類

近所にあるわりと大きい病院や近寄りがたい大学病院、なんかよくわからないけど謎の研究所みたいな巨大な病院。

それらの病院は目的によって4つの種類に分けることができます。

病院の分類を理解することで、その病院が持つ役割をざっくり把握できるようになります。
今回は目的別の病院種別を見ていきましょう。

しろねこ

地域医療支援病院という言葉を聞いたのですが、これは何ですか?

くろねこ

それは病院4種類のうちの1つだよ

もくじ

目的別の病院分類は4つ

医療法で定められている

医療法では「地域医療支援病院」、「特定機能病院」、「臨床研究中核病院」について定められています。
この3つに一般病院を加えた4種類が病院の目的別の分類です。

私は地域医療支援病院と特定機能病院で、実習やお仕事をしたことがあります。

地域医療支援病院は医師と気軽に話せましたが、特定機能病院は明確な上下関係がありました。

医師によっては当てはまらないかもしれませんが。

承認を受ける必要がある

一般病院以外の3つは基本的な基準の他に、別で承認を受ける必要があります。

地域医療支援病院は所在地の都道府県知事の承認がいります。
また、特定機能病院と臨床研究中核病院は厚生労働大臣の承認がいります。

承認のメリットは名称と算定点数

承認を受ける大きなメリットとしては「名乗れる」ことと「算定点数が増える」ことが挙げられます。

承認がなければそれぞれの名称を名乗ることはできません。

例えば「特別機能病院」などの紛らわしい名前もダメです。

この名称を使えるということは、こんな機能や設備を持っているんだという信頼性を示すことになります。
名称独占の資格や免許と同じですね。

また、高い点数が算定できたり、医療機関別係数に反映されたりもします。

医療機関別係数ってなに?

入院費に関わる数字です。
係数が高ければそれだけ収入も増えます。

評価内容を満たしているかで数字が変わるので、どう上げていくかが病院の経営課題の1つです。

地域医療支援病院とは

地域医療を支えるリーダー的役割を持つ

地域医療支援病院は、地域の医療機関との役割分担連携を進めることを目的とした病院です。

役割としては「地域医療を支える医療機関のリーダー」といったところでしょうか。
国はかかりつけ医機能の強化を図っているため、地域医療支援病院が持つ役割は重要です。

しろねこ

身近な大きい病院というイメージですね

かかりつけ医機能ってなに?

まずはかかりつけ医が診察し、必要があれば地域の医療機関に紹介できるような体制のことです。

かかりつけ医とは患者が日常的に相談でき、身近で頼りになる医師のこと。
明確な役割分担をすることで、勤務医の負担軽減や、患者の待ち時間の短縮などにつなげる狙いがあります。

都道府県知事の承認がいる

地域医療支援病院になるためには、要件をクリアし、所在地の都道府県知事から承認を受ける必要があります。

また、要件をクリアできなくなったりすると承認を取り消されます。

要件がいろいろある

地域医療支援病院になるための要件はたくさんあります。
一般病院の基準に加えて特定の要件を満たさなければなりません。

例えばこんな要件があります
紹介患者に対する医療の提供

下のどれかを満たす
・紹介率  80%以上
・紹介率  65%以上 かつ
 逆紹介率 40%以上
・紹介率  50%以上 かつ
 逆紹介率 70%以上

地域連携の強化を図るために一定水準以上の数字が必要。

共同利用の実施

病院の設備や機械などを、他院の医療従事者に利用してもらえる体制が整備されていること。

救急医療の提供

24時間体制で入院が必要な重症患者の受け入れに対応できること。

地域の医療従事者に対する研修の実施

地域の医療従事者の質を上げるために、研修を行わせる能力があること。

病床

200床以上であること。

設備や記録があること

集中治療室や特定の検査施設など、決められた設備があること。
過去2年間の諸記録があること。

くろねこ

役割を果たすための要件だね

どんな病院がある?

承認を受けている病院は毎年10月5日までに業務報告書を提出しなければなりません。

実際の承認病院や報告書は厚生労働省のホームページから閲覧することができます。

都道府県ごとにリンクが載っているので、そこから確認してみてください。

特定機能病院とは

高度な医療を担う設備や専門家が集う

特定機能病院は、先進医療や特定疾患の診療など高度医療の提供を目的とした病院です。
承認システムには次のような趣旨があります。

  • 高度な医療水準を保つためには継続的に症例を扱った方がいい
  • 専門的な人員や設備をたくさんの病院で持つより、1か所に集約した方が効率的
  • 必要な患者だけが受診できるよう紹介制にした方がいい
しろねこ

一般的な医療では難しい病気を扱うんですね

厚生労働大臣の承認がいる

特定機能病院になるためには、厳しい要件をクリアし、厚生労働大臣から承認を受ける必要があります。
また、こちらも要件をクリアできなくなったりすると承認を取り消されます。

厳しい要件がたくさんある

特定機能病院になるための要件はとても厳しいです。

例えばこんな要件があります
必要な診療科

内科、外科、精神科、小児科など必須の標榜診療科を有していること。

専門医の配置

指定の専門医を配置していること。

紹介患者に対する医療の提供

紹介率 50%以上 かつ 逆紹介率 40%以上であること。

医療技術の開発と評価

所属医師が発表した英語論文の数が、年間で100件以上あること。

病床

400床以上であること。

安全管理体制

専任の「医療安全管理者」を置き、院内の安全管理体制を確保すること。

くろねこ

この他にも細かい要件がたくさんあるんだ

どんな病院がある?

地域医療支援病院と同じで、こちらも承認されている病院は業務報告書を提出しなければなりません。

実際の承認病院や報告書は厚生労働省のホームページから閲覧することができます。

地域厚生局ごとにリンクが載っているので、興味があれば確認してみてください。

臨床研究中核病院とは

薬や機器の開発のために研究している

臨床研究中核病院は、日本初の医薬品や医療機器の開発などのために、質の高い臨床研究を推進する役割を持つ病院です。
診療をしながら同時に研究を行っています。

くろねこ

全国で15施設しかなく、ほとんどが大学病院だよ

厚生労働大臣の承認がいる

臨床研究中核病院になるためには、ものすごく厳しい要件をクリアし、厚生労働大臣から承認を受ける必要があります。

また、要件をクリアできなくなったりすると承認を取り消されてしまいます。

すごく厳しい要件がたくさんある

臨床研究中核病院になるための要件には以下のようなものがあります。

例えばこんな要件があります
必要な診療科

内科、外科、精神科、小児科など必須の標榜診療科を10以上有していること。

人員の配置

・医師または歯科医師が5名以上
・臨床研究コーディネーターが12名以上
・データマネージャーが3名以上
・生物統計家が2名以上
・薬事審査関連業務経験者が1名以上

などの人員配置を満たしていること。

臨床研究の実施

特定臨床研究の計画の立案と実施、件数の維持および増加に努めること。

他院への援助

他院に対し、研究の実施に関する相談に応じ、必要な情報の提供・助言・援助を行うこと。

病床

400床以上であること。

設備や記録があること

・集中治療室や臨床検査施設を有すること。
・過去2年間の諸記録があること。

どんな病院がある?

こちらも承認されている病院は業務報告書を提出しなければなりません。

実際の承認病院や報告書は厚生労働省のホームページから閲覧することができます。

まとめ:だいたいのイメージがつかめればOK

今回は目的別の病院分類をお伝えしました。

要件など細かい部部を覚える必要はありません。
ざっくりとイメージできればOKです。
必要になった時には書籍などで都度調べましょう。

ちなみに、診療報酬請求事務能力認定試験の学科で出題されたりもします。

しろねこ

病院にはそれぞれの役割があるんですね

くろねこ

そうそう。なんとなく頭に入れておこう。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。
たくさん勉強して質・価値の高い医療事務になりましょう!

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