「医療経営士」に興味がある方、これから受験する方、受験するか悩んでいる方。
そんな方を対象に、実際に受験をして得た情報をお伝えします。
この記事が悩みを解消したり、お役に立てれば嬉しいです。
医療経営士には過去問がないので、どうすればいいのかわかりません!
そうだよね。過去問は出せないけれど、どんな試験かは教えられるよ。
医療経営士とは
「ヒトモノカネ情報」の力を最大限に活用できる人材
医療機関が儲けようとするなんて、とんでもない!
というイメージがあるかもしれませんが、それは少し間違いです。
そこで働く医師や看護師などへの給料、維持費、よりよいサービスを提供するための設備投資。
それらにかかるお金を工面しなければ、医療機関は潰れてしまいます。
医療機関といえど、一般企業と同じように質を保ちつつ、効率的な経営をしていかなければなりません。
そのためには、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を最大限に活用することが求められます。
ただし、株式会社のように利益の中から余った分を分配することは禁止されています。
もちろん患者さんの健康を守ることが一番の使命ではありますが、医療機関の経営が不健康であれば元も子もありません。
どんなに良い治療をしても、継続できる組織でなければ意味がないのです。
助けたいと思っても、助けられるだけの力がなければ願うことしかできません。
ここでいう力とは、深く考え行動し結果を出す力のことです。
これからは医療機関も淘汰される時代であり、何の戦略もなければ赤字で潰れてしまいます。
そんな中、
- 医療・経営知識
- 経営課題解決能力
- 経営能力
を持った人材が必要なのは明らかです。
それが「医療経営士」に期待されていることです。
病院は安定していて潰れないイメージがありますが……
そうでもないよ。病院の60%以上は赤字なんだ。
試験は3段階のレベルに分かれている
さて、医療経営士の資格試験ですが、1~3級の3段階となっています。
最初は3級から受験することになります。
2級を受験するためには3級に合格している必要があります。
同じように1級も、2級に合格していなければ受験できません。
医療経営士3級を勉強してみて、新人さんの教育プログラムに組み込んだら良いのではないかと感じました。
合格までの費用はサポートしてあげて、全員に取得してもらうとか。
もちろん病院の出費は痛いですが、必要経費…いや、未来への投資だと考えればお安いかなと思います。
医療経営士の勉強は実務での成果はすぐには出ないです。
しかし基礎知識を早く持つことで、基礎知識を持った状態で考えられる時間が長くなります。
知識を持った状態で考えると、知恵が生まれます。
知識を持たない状態では考えることすら難しいです。
その知恵が病院へと還元されれば、医療経営士の受験費用なんてすぐにペイできそうですね。
モノ(医療機器など)には積極的に投資するのに、なぜヒトには投資しないのかずっと疑問でした。
答えは簡単で、モノは手に入ればすぐに使えて結果が出ますが、ヒトはすぐに結果が出るとは限らないからですね。
ヒトは辞めてしまったり、人生のイベントがあったりしますし。
ヒトに投資するという概念がないまであります。
「モノを作る前にヒトを作る」
松下幸之助さんの教えは今もなお色褪せないです。
これからはヒトに投資できる医療機関が強いと思います。
少し長くなりましたが、雑談終わりです!
まずは3級試験に挑戦しよう
3級取得までの流れ
医療経営士認定までの流れです。
合格しただけでは「医療経営士」になれないので注意が必要です。
入会金と会費を支払って協会に入会し、認定されて初めて「医療経営士」となります。
登録料と会費は各10,000円です。
協会に入会するといくつかの特典がある
試験に合格し、協会の個人正会員となると下記のような特典が得られます。
- 認定証(カードタイプ・賞状タイプ)
- 会報誌『理論と実践』(季刊)
- 月刊『MMSニュース』(電子版)
- メールマガジン
- 「医療経営手帳」
- 推薦図書・雑誌の割引提供(20%OFF)
- セミナー・各種研究会等への参加割引
次のステップである2級に挑戦する場合、図書の割引はありがたいですね。
また、専業の学生さんだと学割が適用されて、登録費と年会費が無料のようです。
ただ、認定証が簡易であったり、医療経営手帳の特典がなかったりします。
取得するメリットは過程にある
さて、ここで医療経営士を取得するメリットはあるのかというお話をします。
お高い会費を払うだけの価値はあるのかどうかですね。
(おまけに公式テキストもけっこう高い)
ある病院で医療経営士3級取得を公表している職員は5人ほどいました。
取得したからと言ってすぐにどうこうというわけではありません。
資格手当もないと思います。
また、私は3級レベルは医療事務として当然持っている知識という感覚です。
取得したから、さあ経営に関わるぞ!とはなりません。
私は医療経営士の資格取得に価値があるのでなく、勉強するという過程に価値があると考えています。
医師や看護師のように独占業務でもありませんし、資格自体に価値を見出すことは難しいです。
そのため、この資格で身につけられる知識に価値が見いだせない場合は、受験しなくてもよいと思います。
雑談でも言いましたが、知識をしっかり身につけたうえで業務に取り組んでいけることがメリットです。
将来的には診療報酬や施設基準の知識を持っているだけでは仕事がなくなるかもしれません。
今のうちから多くの知識と経験を積んでおいた方が良いですね。
資格をどう活かすかは自分次第ということですね!
そうそう。良いこと言うね。
資格試験について
試験の概要
もうご存じの方が多いかもしれませんが、試験の概要を簡単に載せておきます。
試験実施月: 2、6、10月
制限時間 : 80分
出題形式 : 五肢択一、マークシート記入
出題問数 : 50問
合格基準 : 総得点の6割程度
受験料 : 9,100円(税込)
出題範囲
次に3級試験の出題範囲です。
- 医療経営史
- 日本の医療政策と地域医療システム
- 日本の医療関連法規
- 病院の仕組み/各種団体、学会の成り立ち
- 診療科目の歴史と医療技術の進歩
- 日本の医療関連サービス
- 患者と医療サービス
- 医療倫理と臨床倫理
- 医療に関する最近の動向/時事
9の時事問題はテキストに載っていないので、日ごろから医療のニュースにアンテナをはることが対策となります。
診療情報管理士の試験と被る部分も少なくないよ
実践した勉強方法
私が実践した勉強方法は特に変わったことはなく王道なものです。
公式テキストとなるほどなっとくQ&Aを読み、問題集を2回解きました。
え、裏技とかないんですか
ないよ(にっこり)
……。素直に勉強がんばります。
第41回受験の体験記
動機は学びなおしのため
ここからは私の受験記をつづります。
まず、この試験を受けようと思った動機は、もう一度勉強したいなと思ったからです。
医療経営士3級の試験範囲は、すでに大学時代に勉強したことが多く含まれていました。
しかし、改めて問われると?となることもあったため、復習をしようと思ったことがきっかけです。
勉強期間は1か月
1か月ほどです。
ただ、大学時代も含めると15年近く医療事務に関わっているので、アドバンテージはある状態です。
初めて取り組まれる方は倍くらいの期間を確保した方が良いかもしれません。
試験日当日
試験日当日は10分くらい前に席に着くようにしました。
すでにほとんどの受験者が座っていました。
なるほどなっとくを読む人、自作ノートを確認する人、腕を組んでじっとしている人、人それぞれです。
ぱっと見、男性比率が高いですね。
そして、冬だというのに、人口密度が高いせいで少し暑くて息苦しい。
私も席に着くと、なにやら前面に貼り紙が。
どうやら試験問題文に訂正があるらしいです。
後で説明があるだろうから、今はそっとしておこう。
いよいよ時間になり、男性試験官の説明が始まりました。
そこで、先ほどそっとしておいた問題文の訂正についてアナウンスが。
貼り紙を見て、問題文の訂正をお願いしますとのことでしたが、文字が小さくて見えないという受験者がちらほらいました。
私の隣に座る人も「いや、全然見えん」とイラついていました。
何人かのスタッフで対応することで、解決。
そして、実際の問題ですが、正攻法の勉強をしていれば難なく解ける問題ばかりでした。
あ、これ進研ゼミでやった問題だ!みたいな感じです。
時間には余裕があり、3回は見直せました。
実は途中で計算問題があったのですが、ここで深刻な問題が発生します。
割り算ってどうやるんだっけ?
今まで計算はExcelに頼りきりだったので、手計算に苦戦しました。
使えない状態になって初めてExcelのありがたみがわかったのでした。
いや、式はわかる!仕事でもやってるから息をするようにわかる!
でも割り算のひっ算ができない!
蘇れ小学生の時の私!
少し焦りましたが、何とか答えが出ました良かった。
割り算に苦しめられるとは想定外。
かつての強敵がより強くなって現れました。
そしてひっ算って久しぶりに言いました。
「ひっ算ができない大人」問題をなんとか乗り越え、無事試験が終了。
途中退席はできないので、受験者全員が一斉に帰路につきました。
まとめ
今回は医療経営士3級試験についてお伝えしました。
この記事の情報が、これから受験される方の参考になれば嬉しいです。
医療経営士の資格は役に立たないという意見もありますが、ある意味正しいと思います。
知名度の低い民間資格である以上、その資格自体に効力を期待することはできません。(今のところは)
これから医療経営士の知名度や優位性を高めるのは、医療経営士自身の行いです。
医療機関になくてはならない存在であると、行動と結果を示し続けることが必要だと私は考えます。
医療経営士に求められることは、これからの医療機関に必要なことなんですね
そうだね。まずは取っ掛かりとして試験に挑戦してみてもいいんじゃないかな。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
たくさん勉強して質・価値の高い医療事務になりましょう!